Strategy

翻訳の語がまぎらわしいのであえてStrategy、Tacticsと書きます。(戦略、戦術、文明、文化など、紛らわしい翻訳語は個人的には言葉を変えて欲しいと思っています)

Tacticsは、今目の前にある問題を潰すことです。
例えるなら、ボールが飛んできたらそのボールを打つ。追っかける。取る。野球のゴロやフライをイメージしてもらうといいですね。ボールだけを見ている。

Strategyは、今ないものに対処することです。未来のことを考えて動くことです。
例えばボールは右に飛んでいるけど、左や逆のほうに走っているみたいな。アメフトが良い例だと思います。ボールを投げる人と一見連動しない動きをします。前だけでなく、後ろにも右にも左にも走ります。通せんぼする人も全く動かない人も居ます。突進する人もいます。投げると見せかけて自分で走ったり、後ろにパスしたりします。ボールだけを見ていないんですね。
ボールを数多くゴールまで運ぶのが目的ですが、そのために今はここまで進むことが大事とか、敵に悟られずにあそこにボールを持って行くとか、そういう事を考えているからです。場合によっては、ここは進まなくても良いという判断もします。もっと大きく見ると、1シーズン生き残るために今は負けておこうとの判断もあります。
これがStrategyです。

日本の小学校の教育では、四則演算ができることとか、都道府県が言えることとか、そこだけが注目されます。これはTacticsです。たんなる技能です。ボールしか見ていないんですね。
人間に必要なことは技能だけではありません。スキルとともに、先のことを念頭に置くことが大事です。ボールだけを見るのではなく、未来も同時に見るのですね。

今目の前にあることだけに注目するような教育ですと、問題があれば解決できる人間は育ちます。しかし、今問題がないときは何もできない人間になってしまいます。その場合おうおうにして、問題探しにかかってしまいます。問題探し、アラ探し、ドブさらいばかりしていては未来は拓けません。

20年後の自分はどうありたいか。3年後自分はどうなっているか。そのためには1年後はどうあるか。そのためには今何するか。このようなことを持つ・実践することが大事ですね。

またショックにも強くなることが大事です。どんなショックを受けても3日で立ち上がれるようになれば(気持ちをたてなおすことができれば)、悪い状況でもいつかは抜け出すことができます。これは生きる力に直結します。生きる力を失ってもそれを早く取り戻すこと。生きる気力がなければ行動も起こせません。

技術、スキルよりも大事な事がらですね。

徳をもってす

老子「報怨以德」(うらみに報いるに徳をもってす)(*1)
ブッダ「怨みに報いるのに怨みをもってしたら、怨みがやむことはない。怨みをすててこそやむ。」(*2)

すごい言葉です。なかなかできる事ではないですね。
どちらも紀元前の言葉ですが、東洋というのは人間の徳、人間力、人格、そういうものに価値をおいてきたのですね。

*1「老子」63章。
*2:「ダンマパダ」の5番目。
中村元(1912-1999)、Acharya Buddharakkhita(1922-2013)はこの文脈で訳しています。Acharyaの英訳は
“Hatred is never appeased by hatred in this world. By non-hatred alone is hatred appeased. This is a law eternal.”
Max Müller(1823-1900)の英訳は
“For hatred does not cease by hatred at any time: hatred ceases by love, this is an eternal rule.”
想像なのですが、『ダンマパダに”憎しみは憎しみでは消えない(超えられない)。愛(慈しみ)によって憎しみは消える”とある』としているのは、Müllerの英語訳から来ているのかもしれません。これはこれでわかりやすいですし、心理学的にも良いなぁと思います。

支えるもの

木火土金水、五行の考え方は面白いですね。
全てをざっくり5つに分けているのだけど、そこに方向、数字、関係性を当てはめているのがよくできているなぁと思います。インドの5つやギリシャの4つにはない特徴がありますね。
五行の関係の基本は「木があってこそ火ができる。火があって土ができる….」というふうで、5つで一巡します。循環しているのですね。
五行のうち(なんでもいいのですが)、隣り合う3つだけ切り出してみます:

[木]→[火]→[土]

この真ん中を自分だとすると、

・自分の生きる力をだしてこそ(1)、自分がなりたち(2)、それで成果がでてくる(3)
・周りから与えられて(1)、自分があって(2)、自分を周りが受け取ってくれる(3)
・自分の両脇に星が2つある=自分を支えるものが2つ必要

これを経営者などのリーダーにあてはめると

 ・自分1人でやるのがリーダーではない。強い1人のリーダーが組織を引っ張り人がそれに従うというのは、自然から離れている

とわかるし、子供の将来を考えると

 ・なにか得意技があると人生が成り立つ。1つでもいいがそれよりも2つ。自分を支えるものが2つあるから。自分を入れて3つの得意技があれば文句なし、人生の開発は早い。

とわかります。おもしろいものです。

土用

7月です。土用がありますね。最近になって一般にも土用は1年に4回あるというのが知られてきましたね。

土用は東洋の五行からきています。木火土金水の5つで五行です。
ところが季節(四時しいじ)は4つ。そこで、
木=春、火=夏、金=秋、水=冬
となりますが、行き場がないのが「土」です。この土を季節の変わり目に当てはめました。それが土用です。

「季節の変わり目」ですから、土用は「立」の直前になります。春夏秋冬は太陽の位置によって決まりますから、土用も太陽の位置で確定します。
297°〜立春(315°)
027°〜立夏(45°)
117°〜立秋(135°)
207°〜立冬(225°)
(度数は太陽の視黄経)

さて実際の体感からすると、立夏・夏至というのはまだ我慢できる暑さですが、土用立秋(8月)ぐらいから9月がたまらなく暑いですね。この遅れは地球の大陸や海の性質によるものです。

体感とは別に、気学の上では夏至がピークで、それから土用、立秋へと徐々に下がっていきます。ピークを過ぎているのに更に強いと感じる。おもしろいですね。
これは季節だけでなく人にも言えますね。ピークを過ぎていても自分がピーク(最高)と思っている、これが勘違いのもとになります。

土用の時期は体調がかんばしくないことが多いので、温泉にでもつかってゆっくり過ごすとよいでしょう。

今何してる?

「今何してる?」と問われて「仕事してる」とか「息してる〜」とかではなくて。
例えば子供に「将来何になりたい?」と問うて将来をイメージさせることは大切ですね。「宇宙飛行士になりたい」とか。でもそこで終わらせるのはもったいない。そのためにAをしよう、Bをしようと決め、毎日行動するとその子の人生が変わってきますね。飛行士なら「毎日一文、英語の文章をみよう」というのも一つだと思います。これなら「何してる?」と聞かれると「飛行士になるために英語勉強してる」となります。
遠く(大きな)目標をもちつつ、足元の小さなことを持続する。これが大事ですね。

先人はそれを文章に残しています。超意訳すると、
老子「難しいことや大きなことに向かうには、スタートは小さなこと簡単なことからよ」
孔子「遠いこと先のこと大きな事を見据えておかないと、足元から崩れるよ」→つまり→「遠いことを思いつつ足元からしっかりやれよ」

人生のひらきかたを紀元前に言っているとは驚きですね。

「運命」という語

「天命」「使命」「運命」「宿命」、さぁ、どれがどう違うでしょう?
「宿命」は、過去において決まってしまったこと。起きてしまったことなので変更できないですね。
「運命」は、自分で決めるこれから歩いて行く道、自分で自分の命を運ぶということです。多くの場合”宿命”のことを”運命”と言ってしまっているのではないでしょうか?あるいは「どうせ私は」という諦めで”運命”と言っているのではないでしょうか?過去起きてしまったことにとらわれないで今を歩くことが大切ですね。今の延長線上に未来があるわけですから。人生、未来を変えるなら、過去ではなく今を生きることです。命を運ぶという事はそういうことです。現在と未来を見据えているのが「運命」の本当の意味合いです。