徳をもってす

老子「報怨以德」(うらみに報いるに徳をもってす)(*1)
ブッダ「怨みに報いるのに怨みをもってしたら、怨みがやむことはない。怨みをすててこそやむ。」(*2)

すごい言葉です。なかなかできる事ではないですね。
どちらも紀元前の言葉ですが、東洋というのは人間の徳、人間力、人格、そういうものに価値をおいてきたのですね。

*1「老子」63章。
*2:「ダンマパダ」の5番目。
中村元(1912-1999)、Acharya Buddharakkhita(1922-2013)はこの文脈で訳しています。Acharyaの英訳は
“Hatred is never appeased by hatred in this world. By non-hatred alone is hatred appeased. This is a law eternal.”
Max Müller(1823-1900)の英訳は
“For hatred does not cease by hatred at any time: hatred ceases by love, this is an eternal rule.”
想像なのですが、『ダンマパダに”憎しみは憎しみでは消えない(超えられない)。愛(慈しみ)によって憎しみは消える”とある』としているのは、Müllerの英語訳から来ているのかもしれません。これはこれでわかりやすいですし、心理学的にも良いなぁと思います。