論語、季氏に
益者三友。損者三友。
友直。友諒。友多聞。益矣。
友便辟。友善柔。友便佞。損矣。益は三友。損は三友。
直を友とし、諒(リョウ)を友とし、多聞を友とす。益かな。
便ペキを友とし、善柔を友とし、便ネイを友とする。損かな。
とあります。
師から「論語の6〜7割は気学の考えを基に言われている」と聞きました。
論語の文はちょこちょこ「なんでこんな語が突然出るのだろう?文意が前後と合わないのではないか?」というところがあります。そのような部分は気学や易からみると不明点がズバッとわかります。気学がわかると論語の理解がさらに深くなります。
三友の文の解析をしてみます。(師から例題として直接言われたのは違う文で、以下は私の考えです。)
易の「風雷益」の形をみると直ぐわかります。これは風雷益に至る道のヒントを出しているのだなと。風雷益は次のような形です。
風雷益は四緑と三碧からなる卦ですが、その中に二黒、八白、九紫が隠れているのが見えますね。
「友直(直を友とし)」の「直」は「二黒土星」です。二黒は四角のものですので、直はずばり二黒なのです。
二黒には、柔順、持続という意味があります。長い間素直に従って行動することです。ここから実直さ、正直さという事もでてきますね。つまり「師にしたがってコツコツ続けることが必要だ(友とせよ)」と言っていますね。
「友多聞(多聞を友とし)」の多聞は「三碧木星」です。三碧は勉学全般の意味があります。三碧ずばりそのものです。「学びを友とせよ」ということです。
「友諒(りょうを友とし)」の「諒」は”誠”という解釈が一般的です。説文解字にも「信也」とあります。誠実、信頼は「四緑木星」です。これもぴったり風雷益の卦です。
でも私は誠の意と四緑よりも「九紫火星」の事が強いと考えています。
白川静の字統を調べると諒は亮に作る場合があります。諒も亮も明るさという意味があります。九紫に明るいという意味があります。その意味で諒は九紫です。
広雅によると「智なり」とあります。勉学・知識は三碧ですが、それが熟成され極みに至ると智慧です。智慧は九紫です。これからも九紫のことを言っているとわかります。
八白土星がかくれています。八白は高い山です。高い山で陰になっています。それをぶち抜くと明るさが出てきます。八白も高い目標、九紫も目標を示します。「明るさをもって高い目標にむけて実行せよ」と言っています。この意味からも諒は九紫とわかります。
つまり人生の利益を得るには、二黒・三碧の行動をしっかりし、九紫の高い目標と明るさが大事なんだといっています。
これが「三友」ですね。これらの意味を頭において発言した文とわかりますね。
では逆に悪い意味となったらどうでしょう?それが「友便辟。友善柔。友便佞。損矣。」の部分です。
三碧が凶で出ると、言いわけ、ほら、嘘、短絡、詐欺などになります。
二黒の吉は優しさ、柔らかさですが、それが凶で出ると逆になります。
四緑の吉は信用ですが、それが凶にでると信用がなくなります。
九紫の吉は智慧、明るさですが、それが凶になるとウワベだけよく見せる、体裁ぶる、しったかぶり、高慢さ、慢心になります。八白も上から目線になることがあります。
どうでしょう。損の言及部分も二黒〜九紫のこととわかりますね。
風雷益をひっくり返すと山沢損になります。損と益は表裏一体とわかります。損にも二黒・三碧・九紫が隠れているのがわかります。
山沢損自体は良い卦です。悪い意味ではありません。でもあえてこの論語の文意では悪い意味で損をとらえてみると、山沢損もこの三友の文にはまりますね。