一般的でない読みの名前

10月22日、京大が発表しましたね。”大手の名前ランキングサイトを集計してみると、漢字を通常とは違う読み方をして、新生児の名前にしている場合が増えてきた。これは日本の社会や大衆の心理が変わってきたと予想”、とのことらしいですね。

驚いたことに「海」で「まりん」と読ませるような場合もあるとかないとか。本当かなぁと思って、ちょっとその大手のサイトを見てみたのですが、そこまでひどくはないものの、まったく漢字の読みに無い音がずらっと並んでいて目を丸くしてしまいました。
例えばランキング上位の「翔」ですが、旺文社の漢字典(音読み、訓読み、人名読みを載せている、一般的な価格帯の漢和辞典です)をひくと、音よみで「ショウ」です。訓読みはありません。それで、これを使った名前
「大翔」のよみが
ヒロト、ハルト、ヤマト、ソラ、タイガ、タイト
もう全くわかりません。
漢和辞典は高くないものもいっぱいありますし、義務教育の時に購入しているはずですので家にあるはずです。調べてからつけるべきです。

姓名鑑定上、最近でてきたようなこのような読ませ方はお勧めできません。全く。
漢字には意味と音があります。意味と音により気は出来上がってきます。それに人生が影響されます。ですから字を大事にしていただきたいのです。

かなり昔の話ですが、「よろしく」というのを「夜露死苦」と書く人達が現れました。冗談で書いていたと思います。それが時代を経ると、マンガ・小説などでこのような当て字が使われるようになりましたねぇ。まだこのような読みが出始めの時は、マンガや小説の中だけの冗談・ジョークのような感覚だったと思います。漫画や小説をかく側にしてみれば、面白さを引き出すためであったり、キャラクターを覚えてもらうために行った行為だと思います。そこには「作り手と受取り手が、本来の漢字の音と意味を、互いにわかっている」という前提の上での言葉遊び・連想ゲームみたいな感覚があったと思います。「宇宙」と書いて「そら・ぎんが・スペース」ですかねぇ。使われていたのは。そういえば司馬遼太郎の作品に『翔ぶが如く』(とぶがごとく)というのがありましたね。これも正しい訓読みではなく、連想ゲームみたいな使い方ですよね。
私個人として思うのは、このような作品中の演出・言葉遊び・ジョークのやり方を、まに受けとり始める人達が出てきた結果が、最近の命名に影響しているのではないかと思っています。作り手の質がどこまで保てているかはわかりませんが、受取り手はちゃんとした本を読んでいない人が増えているのではないかと思っています。本は文学でも科学技術書でも推理小説でもSF小説でも良いのですが、演出や笑いに重点を置いたようなものではなく、ちゃんとした本です。ここに原因のひとつがあるのではないかと思います。

また、このような読みではないものの、可愛らしすぎる名前というのが女の子にありますね。
人間の名前は死ぬまで使うものです。5才だろうが80才だろうがその名前を使い続けます。可愛らしすぎる名前は、その子が小さい時にしか使えません。30才、40才、80才になった時、その名前で良いか?と考えてください。短期間しか使えない名前を人につけては可哀想です。子供時代にしか使えない名前は、姓名鑑定上、全くお勧めできません。
赤ちゃんはとても可愛いのはわかりますし、ご両親が悦んでいるのはわかります。そりゃ大変な思いをしていますもの。悦びはとても大きいですよね。その悦びのままに命名したいのでしょうが、そこでちょっと立ち止まって考えてください。その赤ちゃんが可愛いと思う気持ちの一歩先に出てみて、赤ちゃんを一個人としてみて、名前を考えてみてはどうでしょうか。