吾十有五而志于學

これまで紹介した、気学を使って論語を読む方法は以下になります。

1.易、九星の個々の意味あい
2.五行
3.後天定位盤

これに加えて、以下を使っての読み方もあります。

4.廻座
5.先天定位盤

今回は4.廻座をつかってみましょう。

論語、為政に、有名な句がありますね。

 吾十有五而志于學、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而從心所欲、不踰矩。

 われ十有五にして学を志す。
 三十にして立つ。
 四十にして惑わず。
 五十にして天命を知る。
 六十にして耳したがう。
 七十にして心の欲する所に從って、のりをこえず。

後天定位盤は次になります。

kouten

この後天定位盤の数字は動きません。が、年にあてはめた場合は毎年、盤の数字の配置が変わります。1〜9の数字を毎年一年単位にあてはめて変えていきます。9年でもとに戻ります。
人間の年齢にそれを当てはめると、おぎゃーと生まれた時の赤ちゃんは盤の真ん中に居ることになります。
今の人の年齢の数え方だと0才から数えますが、昔は1才から数えましたね。数え年を盤で見ると1才は真ん中になります。一つ歳が増えると(数え2才)右下(北西)に移動します。次の年(数え3才)は少し上(西)にあがります。

a1

それを孔子が言った言葉に当てはめると、数え15,30,40,50,60,70才は以下に示す位置になることがわかります。

15

この位置と後天定位盤の一〜九を見てみます。孔子が言っている年齢は、この星のそれぞれの意味にぴったりなんですね。孔子はこれを頭において言っていたとわかります。人生におけるその時々のポイントを言っていたとわかります。順にみていきます。

15才のとき、一白水星の上にいます。
一白の上にいる時は全ての初めの時です。何かの志を立てる時です。学を志すには良い時期です。人生の志を立ててもよいでしょう。

30才、七赤金星の上にいます。
金星は成果・実りです。志をもって行動し発展してきました。その成果があるときです。七赤は経済の星でもあります。経済的な成果が出たともいっています。だから独り立ちです。それを素直に家族と悦んでもよいでしょう。七赤=兌(だ)=悦ですから。良い志・行動をしてきたなら悦びの結果を味わうことができるでしょう。わるい志や行動なら、このとき最悪な気分になっているかもしれません。

40才、八白土星の上です。
八白には迷う・山という意味があります。その惑いがなくなったと言っています。惑いを振り切るぐらいの大きな山を自己の中に作り上げろと言っています。新たな目標を設定してもよいでしょう。そこに向かうために今までの事を一旦止めて見直し、スタートする良い時です。この時は次の10年に向けて、今までのやり方を変えるに良いときです。

50才、九紫火星の上です。
九紫は一番上にいます。天に最も近いところです。智慧が得られるときでもあります。それで天命を知ると言っています。普通天命を知ることはできません。が、今の生活を正しくし、正しい生活を一心不乱に続けていると、使命がわかりはじめます。使命を実行し続けていくことにより、天命に到達する人もいます。それまでの50年間に太陽の日がサンサンとそそぐ時です。それまでやってきた事が明るさをまし、盛んになる時です。

60才、一白水星の上にいます。
一白は耳の穴、人付き合い、流動性という意味があります。水に木の葉が浮かんで流れるように、人の意見にしたがう事ができれば、その後の人生に良い流れをずっと引き込むことができますね。その流れは長く続くでしょう。最初は小さな流れでも、10年たてば大きなものになります。また還暦一つ前。2つめの人生のスタートとしてとらえ、周りの意見に耳を傾けて良いでしょうね。

70才、二黒土星の上です。
二黒には四角という意味があります。のりをこえずというのは、二黒のいう四角(範囲)からでないということを言っていますね。人間として許される範囲をこえないことですね。師の教えから外れることもないとも言っています。また孔子の場合は天命を知った後でしょうから、天命から外れることがないということでもあるのでしょうね。二黒に柔順という意味がありますから、全て宇宙に従った状態ということなのでしょう。行動は心に従い、心は宇宙に従っているということです。
二黒は地、基盤という意味がありますから、宇宙から外れない人間の基礎基盤をがっちり造り上げることができたと言ってもいます。おそらく孔子はここで完成と思っていないはずです。なぜなら二黒の先にはまだ三〜九がひかえているからです。二黒の位置ではまだ芽がでていないのです。だからこの基盤をもって次のステップを望んでいたはずです。易経の最後は火水未済=未完成になります。未完成であるからこそ次へのステップがあると言っています。易経の彖伝、象伝、文言伝、繋辞伝、序卦伝、説卦伝、雑卦伝を書いた孔子ですから、完成と思っていないというのは予想がつきます。
この次の80才は三碧の上に廻座しますが、もし孔子が続きを言うなら何と言ったか考えてみると楽しいでしょうね。